時間に余裕のある小学生や、じっくりひとつひとつ英語の読み書きを学びたい中学生が楽しく学べる Jolly Phonicsというイギリスの教材を使うことが多いです。英語の表現を全く知らない初心者でも「音と文字」の対応がまなべるように作られています。
このJolly Phonicsで学んでいくと、たった3つの音素とその文字の形しか習っていなくても、すぐに音のつなげ方(blending)の練習ができます。
例えば、最初にならうのは s a t という最も使用頻度の高い音素3種類です。
それを sーa の順につなげて発話してみよう、 とか tー aー s s ーa ーt の順につなげてみよう、という活動をします。
習ったばかりのレッスンでも、みなさん上手につなげ読みをすることができます。
さて、本題です。
学びがすすんでいくと、”2文字でなり立っている一つの音”も登場します。たとえば、Jolly Phonicsの順番では ai とか oa とか ie などが z や w よりもまえに紹介されます。
”一つの音” ということをひと目で見てわかるように、いつも 「1枚のカードに1音」を表記して 教室では紹介します。
(もっと勉強がすすんで、「抜けている音を書き込む」 などの活動をのちにするときにも、文字の数ではなく音の数にあわせて、アンダーラインを引いておきます。
例えば ai は1つの音なので、
rain と書いてほしいときは、r_ _ n ではなく、r _ n のように 問題を作ります)
さて、日本のお子さんには このai や ie などの音が 「ひとつ」であるということを認識するのはすぐにできることではなく、時間がかかるということをレッスンをとおして 先日あらためて 感じました。
1年ほどJolly Phonicsで学んできているのですが、やっぱりさらっとできるようになるのではなく、一つ一つ時間をかけていくことが大切なんですよね。
理由を自分なりに探ってみると、2つ浮かんできました。
ひとつめは音としての日本語の特徴です。
「日本語の母音には あ い う え お という短母音しかなく、長母音がないから」
英語の ai ie の音を聞いたとき、どうしても2音にわけて聞いてしまうのではないでしょうか。
せっかく「1つの音」=1として覚えればいいのに、わざわざ2として頭の中で音の数を多く認識してしまうらしいのです。
これは 音を一時的に覚えておく”ワーキングメモリ―”に 無駄な負担をかけることになってしまいます。単語の音をきいたとき、r ai n と3つの音だけを覚えればよいのに、とr a i n と4つの音をおぼえるという 負担の大きい作業を無意識にしてしまう。これはのちに、一度に頭の中に覚えておくことができない原因になる可能性があります。
とくに、読み書きに苦手さを感じているなら、なおさら口をすっぱくして「一つのおとだよ~」と強調し、音のつなげ練習をするときにも、手拍子をつかって r ai n (× × ×) ch ai n (× × ×)
のように たくさん練習しましょう!
”ひとつ”感を出すために、最初から筆記体でつなげて ”一文字として”提示するのも非常に有効な方法です。
ふたつめは 表記法としての日本語の特徴です。
「日本語には 2文字をつかって 1音を表すという習慣がないから」
きゃ とか ちょ などは確かに、2文字をつかって1音を表していますが、”小さい字で書く”(拗音)という決まりがありますね。
英語の表記には 音の特徴を表す目的で字の大きさをかえたりする決まりはありません。
ですから 日本語を読み書きするおこさんたちが 同じ大きさの文字並び ai を目で見たとき、まさか「一つの音」だとは 認識できないわけです。
どんなに ai は一つの音ですよ~ といって練習しても、
「rainには 音がいくつはいっているかな?数えてみよう」という音の分解をしてみると、
r a i n 4つ!
のように音を文字の数として、4個数えてしまう癖がついてしまっているようです。
(これがなぜいけないの? と思われる方はきっと多いでしょう。
じつは、のちに様々な 読み書きの困難さを生じてしまうのです。
このことについては、長くなるので、また別のブログに書きたいと思います)
このことを 解決するには、ひとつめにも書きましたが、文字を導入する最初から 筆記体で(つなげ文字で)母音 ai を紹介してしまう方法が有効です。
つながって「ひとつの文字」に見えるわけですから、「ひとつの音」と認識しやすくなります。
そのほかにも、習い始めのころから、「音を3つ使って言葉を作ろうゲーム」のような遊びをしてみることも有効です。1音ずつ書いてある”カード”を机の上にひろげておきます。
音は3つか」。。。と考えながら 音カードを3枚ひろっていきます。
自分の前に 1,2,3と数えながら3枚カードを並べ、r ai n "rain!"と発音します。
この作業をなんどもしていけば 1,2,3と数えた記憶が体にしみこみ、rain をきいたときに 「おとは3つ」と自信をもって答えらえるようになるはずです。
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