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執筆者の写真hoppeta

発音記号は助けにも負担にもなる

更新日:2020年3月27日



大人の私たちにとって、自分で書くことは少ないけれど、知っていれば便利、それが発音記号ですね。教える立場の先生方は「正しい発音を確かめておく」ときに活用していると思います。


英語の入門期である小学校や中学校のお子さんにとって 発音記号はどういう存在なのか考えてみたいと思います。


ほとんどのお子さんは、モデルとなる先生やCDなどの音源をモデルとして聞き、まねしながら英語の発音を学んでいくと思います。音の出し方を覚えた文字が増えるにつれて、文字だけを見て音声化できるようになっていきます。


正しい発音を覚えることは「話す、聞く」ためはもちろん、正しく「読む、書く」ためにもとても大切なことで、最終的には文字を直接見て→音がポン!と頭に浮かび→口から正しい音を作る これができることをめざしています。書くためには 正しく音を認識することで、ポン!と文字が頭に浮かび、→筆記具で文字に書き起こす これをめざしています。




では どんな時に発音記号をしらべますか? (通過点である”テストで得点するため”などではなく、最終目的は「正しく話せ、読み書きする」ために)


① 音のモデルがいないときに 発音を知りたい 


② 2つ以上の単語が同じ音なのかを 確かめたい

 (とくに、同音でスペルが異なる母音 例: field receive teacher recent など)


③ 2つ以上の単語が別の音なのかを確かめたい

(とくに、スペルが同じなのに発音が異なる母音 例:read early bread great など)


④ アクセントの場所を知りたい

 

ここで考えてみてください。

特に入門期の中学生のお子さんは、①’ モデルがあり、②’③’ 文字が特別な並び方(文字列)をすると発音が変わる「ルールの知識」があり、素早く「発話する練習」をし、 ④’ アクセントを音と体で覚えていたら 発音記号を活用しなくても正しく発音できる、ということになります。


具体的には 

①教室では指導者がモデルとなり、家庭ではモデルとするCDやPCでの音声が使えれば クリアしますね。

②③ 1文字ー1音の特徴を生かして体でおぼえ、「文字+文字」の組み合わせ発音法則(フォニックスルール)を明示的に紹介します。そのルールを実際に使えるように練習を地道に積み上げていけば、②③もクリアします。

④については 文字を指導し始めるよりまえから 英語の単語を聞いて「強く高く長く」発音する部分を大ジャンプ! 等のダイナミックな活動をしていくことで クリアできます。


ということは、発音記号を教えなくても、課題として発音記号を書き写したりする作業をしなくても、お子さんの学びを妨げる要因にはならない、ということになるのではないでしょうか?


学びをもっと深めたい、確かめたい、という積極的な動機から 発音記号を活用したいとお子さんが思うことは、もちろん大歓迎です。実は、こういう記号があるんだよ~、ここを見れば音が無くてもたしかめられるんだよ~ とヒントとしておしえてあげることは大歓迎です。パッと輝くような お子さんの笑顔が浮かびますね。


記号を読み解くのが好きなタイプのおこさんなら、動詞の活用表などにさりげなく印刷されている発音記号を見て、「ここと ここの発音が一緒だ!」「文字は一緒なのに、発音が違うの?」などと 発見する喜びを感じることもあるでしょう。


しかし、「読み書き」を苦手とするお子さんには 注意が必要だと思うのです。

「記号」の認識に苦労しているので、アルファベット26文字を覚えるのにも苦労する場合がたくさんありますね。

お子さんにもよりますが、入門期の小学校高学年や中学生に 新たな記号体系である「発音記号」を紹介し、書き写させたり覚えさせたりするのは、記憶の大きな負担になってしまうおそれがあるのでは、と心配です。


「発音記号」は単なる道具であって、使いやすいと感じる人には便利だけれど、使いにくいと感じる人に無理に使うように強いることは 記憶の負担になってしまいます。


中学校の宿題等で、発音記号の書き写しを課題にするケースを耳にすることがあります。「書きうつす」「ノートやワークを提出する」以外の課題のチョイスが無い、ということも多様なお子さんに対して配慮できているのか?という点で問題ですが、「単語と、発音記号、意味を ノートに書いてくる」という課題はどうなのでしょう? 


声に出すのではなく 目で見て覚えられて、何度も書くことで覚えられて、記号の読みときと活用が得意で、一覧表にすることが 好き


ひょっとして、このような視覚記憶・筆記動作記憶が得意なタイプのお子さんだけしか、学ぶことのできない課題なのではないか?


こういう視点をつねにもち 指導していきたいと強く願っています。





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