「用語」の話について一考。
教科の勉強で使われる「用語」って非常にむずかしいって思いませんか?
たとえば、数学では(と、はるか昔の自分のこどをおもいだしています、、、)
中学に入って いきなり「任意の点をここにとります」と数学の先生が言ったとき。
???? 任意って何?
任意の点って何?
私の頭のなかでは・???だらけ。だれも 「任意」というコトバの説明をしてくれないまま、授業がどんどん進んでしまったのでした。
周りをみてもだれも困っていなさそう。みんなはきっとわかっているんだ、と思い込み、質問する機会を逸してそのまま何年もたってしまった気がします。
英語では
「不定詞」というコトバを ”to + 動詞の原形” を呼ぶときに使う先生がいたと思ったら、
「to 不定詞」と わざわざ to を前につけて呼ぶ先生がいました。
自分は
「不定詞は "to+動詞の原形" をさすのに なぜまたtoをその前につけて呼ぶ?それじゃあ、”to to 不定詞” と 読んでいることと同じじゃあないの?」
と気持ち悪くて非常に落ち着かなかった経験があります。
だいぶ後になって 「to のつかない不定詞」というものの存在を知ったとき、「あ~!あの先生はこれと区別をつけるために ”to 不定詞” と呼んでいたのか」と合点したのでした。
指導者である立場の人は、使う用語がその子どもにとって「本当にわかりやすい名称か」をよくよく考えてみないといけません。たとえば次のような一言を言ってあげることが大切。
・・・ 予告しておくね。「不定詞」とは このように ”to +動詞の原形” の形を持つものです。今はそう覚えておこう。でも、○○年生になると 「toなし不定詞」っていうややこしいヤツも出てくるんだよ。だから 区別するために 最初から「to 不定詞」と呼ぶ先生もいるよ。。。と。
さて、ここからが本題です。
先日、「名前」について 生徒が質問をしてくれました。
生徒が「”山形”って英語ではなんていうの?」とたずねてきました。
「山形」は県の名前です。名前ですから英語でもフランス語でも何語でも 「ヤマガタ」と発音すればいい。日本の名前なのですから。
しかし、このお子さんは 英語で話したり書いたりするときは、言葉はすべて日本語→英語に訳さなければならない、つまり、名前にも 他の単語と同じように「訳」があり、英語訳をつかうものだと、理解していたようです。
そうなんだ!
きっとどこかで誰かが「人や場所の名前は 発音を変える必要はなく、そのままの発音で英語の文中で使っていい」と一言、いってあげていたら、このような誤解がうまれることは無かったのでしょう。
この種の「へ~!しらなかった!」的な誤解は 言語の教科ではおそらくザクザク
あるはず。
難しいのは、「名前」は「名前」でも、、、
「12か月の月の名前、1週間の曜日の名前、星座の名前、惑星の名前」などは日本語と英語とが異なっているので、それぞれ覚える必要があること。
また、例えば都市名でも
「パリ ウイーン」のように 現地の名前で日本人は慣れ親しんだ土地の名前であっても、 英語では「英語読み」をするので スペルは変わらないのに 「パリス」「ヴィエンナ」のように発音が異なって聞こえることもあること。
さらに、漢字という共通の文字をもつ多言語では、(たとえば、中国語と日本語)
スペル(漢字という文字)は変わらないのに 北京を「ペキン(日本語読み)「ベイジン(中国語読み)」と発音が異なることもあること。
と!ここである出来事を思い出しました。
米国留学時にたくさん台湾出身の友人ができました。
台湾出身の人はみな「英語名」を持っていました。例えば郵便の宛先を書くときでさえ、
自分の名前に 英語名をプラスして 表記していました。
自分の名前だけで十分なのに、なぜ英語名が必要なのだろう????
遊びでニックネームをつけるのならわかるけれど ニックネームは宛先に併用して書いたりするものではありませんよね。
その理由を聞いてみました。なるほど とても面白い背景があったのです
台湾では 文字は漢字しかなく、例えば英語の地名を表すために 台湾で使っている漢字で書こうとすると「近いけれど その名前ズバリを表す音を持つ漢字は ほとんどない」という現実にぶつかるそうです。
逆も同じで自分の台湾名をズバリ表す英語のスペルは どうやっても見つからない」
「なんとかスペルしてみても、自分の台湾名とはかけ離れた発音になってしまう」
ことが起こります。
そこで、台湾名に近いけれど、同じではない「英語名」をそれぞれが自分でつけて便宜上使っている、というのが 理由だそうです。
まあ、日本語でも事情は似ていますが(ローマ字で表記しても 日本語の発音とはかなり違う発音で読まれてしまうことがあるので)
でも、日本語には「カナ文字」「かな文字」という”表音文字”が存在するため、カナ文字一つ一つをローマ字に変換していけば、何とか統一的な アルファベット表記にたどり着きます。
英語のアルファベット表記と 日本語のローマ字表記との「音」に関する親和性が 中国や台湾で用いられている漢字(表意文字)よりは まだあるといえるのでしょう。
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