文字からの情報を読み取るのを苦手としているお子さんの中には、直前に音読した「音」がずーと頭の中に残ってしまい、次の行への切り替えがうまくいかない、ということがあります。
文字情報を読み取るには時間がかかるので、その代わりに「音声情報」へのアンテナが高く張っているのかな、と思います。直前の「音」の印象が強くあたまのなかで焼き付いてしまうあまり、新しい文字情報を音声化するときの 邪魔になってしまうことがあるのではないか、そんな場面に出くわしました。
中学校の教科書を音読してリピートするような場面を想像してください。
たとえば まず自分の力で音読する(デコーディング)活動にチャレンジしたとします。
さて、続いて次の行を音読してもらいます。すると、驚いたことに直前に読んでいた英文の音がそのままお子さんの口から再現されて出てくることがあるのです。
おこさんは、目では確かに新しい行の新しい文字を追っています。指でも追っています。でも頭の中ではさっき音読した英文のおとが再生されてしまい、口からその「さっきの英文」が出てきてしまうのです。
「音声情報」が頭のなかのワーキングメモリを使ってしまっていて「文字情報がはいる」余地がなくなっている感じです。
このようなときは、どうすればよいのでしょう。
1行を読むたびに、頭の音をリセットして「白紙」に戻す時間が必要なのかもしれません。
○「音をリセットするよ~」と言って短い鼻歌を歌う?コマーシャルソングを歌うのは?
○「あらかじめ一文を一枚の紙にプリントアウトしておき、紙芝居のよう紙を差し替えて読むのはどうでしょう?物理的に紙がめくれるのを目にすれば、さっき読んだ音は「もうおしまい」という感覚をえることができ、 読み終えた音を再生しないようになるのでは?
よく、「読んでいる行がわからなくなる」「知らずに同じ文を読んでしまう」という悩みを聞きますが、目でどこを追っているのかがわからなくなる「目の認知機能」のほかにも、このように「自分の読んだ音が強く残りすぎてしまう」ことも原因のひとつかもしれない、と思っています。
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