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執筆者の写真hoppeta

手先の不器用なお子さんが英語を書けるようになる道のり

今日はとてもうれしい報告です。

ディスレクシアのお子さんの中には、印刷してある文字を読むことが難しかったりするだけでなく、文字を書くことが難しいというお子さんがたくさんいらっしゃいます。

今日は「書く」ことに関するブログです。


AさんがADYSに初めて来たのは 中学3年生のとき。

読みかきが極端に苦手で、自分が書いた手書きの文字が読めない、他人に正しく読んでもらえない という悩みを抱えていました。

一生懸命書いた文字があとで読み返せない、という現実はとてもつらいものです。

ノートを書き写しても読み返せないなら、「書くのもやめてしまおう」

レポートを自分の文字で四苦八苦してまとめても、発表するときに自分で読めないなら、

「発表活動には参加したくない」

・・・学びのモチベーションが下がるのは不思議ではありません。


日本語の文字や漢字も覚えるのが苦手。


とくに英語は どの文字にどんな音があるのかを明確に学校では教えてもらう時間もないことから、音が聞こえたとしても文字との結びつきが全くわからない状態でした。

保護者の方からは「英語はあきらめていました」というコメントを後で聞いたほどです。


Aさんが筆記用具をつかって書く手元を見て気づいたのは、鉛筆の先をコントロールすることの難しさでした。

とくに、一度紙から鉛筆の芯を離してしまうと、次の線を思い通りの場所から書き始めたり、イメージ通りの角度で線を引くことが難しそうでした。


そこで、Aさんには最初から「書くときは教科書体でもいいし、筆記体で書くことを練習してもいいよ。どちらがいい?」と尋ねてみました。


「筆記体が面白そう!」という反応でしたので、Aさんは(教科書体も見本として見せるけれど)最初から筆記体の書き方でアルファベット文字を書く選択をしました。


筆記体の見本をクリアフォルダーに挟み込み、s a t i p n というジョリーフォニックスの頻度順で1文字1音の学習から開始。

1レッスンで学ぶのは2~3音(文字)。

フェルトペンをつかい、クリアフォルダーの上に4×4センチほどの大きさで「筆記体で一文字ずつ 気を付けて書く」ことを続けました。うまくいかなければすぐ消せますね。


筆記体の指導でAさんは

①よ~く見ないと 線がどのようにつながっているのかわからない

ため、よ~く見る という癖がつきました。

②自分なりに同じように線をつなげているのに、全く別物になっていることもあるので、

なぜ、同じ形にならないのか、自問自答していました。なんども書くチャレンジをしていました。

③どうしても見本のように書けないときは

積極的に私に「ココがうまく書けない」のは 何故か?と質問していました。

④夢中になると、クリアフォルダーではなく、立ちあがってホワイトボードに何度も自分で書くことで、眠さもいつの間にか吹き飛んでいた!という効果もありました。


指導を始めて2年ほどたちました。

初めは自分の名前をアルファベットで書くことも 何度もやり直していたAさんですが、いまでは一回で整った筆記体を書けるようになりました。

単語の書き取りは基本的に筆記体を使うようになっています。

スピードを優先しようとすると つい勢い余って違う文字になってしまうときがありますが、(oがaになってしまう、tをかくつもりで縦の線を書いたのに、あとから横棒ではなく点を書いてしまうなど)

自分で見直すようにうながせば 気づくことも多くなりました。

自分で気づけないときは私が指摘します。

なんどか筆記体で試して それでも形がうまく整わないときは教科書体で書くときもあります。


BINGOシートに鉛筆で単語を記入する時は、積極的に筆記体で書き入れています。

間違って書いたとしても、消しゴムで消すのではなく、線で打ち消し、空いている空間に正しく書き直せばいいので、書くハードルも低いのだと推察します。

このように、「一回で美しく書かなくても大丈夫」「時間の制限がないからリラックスして書くことができる」という条件も 書くことに自信をつける大切な要因だと思います。



そんな活動を2年続けていたら、

いまでは通っている高校の先生から「日本語の文字が整ってきた」と言われるようになったそうです。

その背景には英語のレッスンで「一文字ずつ筆記体で英語を書く」ことを続けていたことがあるのではないか、と保護者の方がおっしゃっています。

筆記体を練習したことが「書字自体のベーススキルを向上させたのではないか」「ここのところの成長が著しいです」とおっしゃっていただきました。


このような形で 学習に必要な「筆記スキル」全体が上向きになっていくとは、私自身も想像していないような効果です。

なによりもAさんが、筆記体で書いてみたい!という気持ちになり 興味をもって取り組んできたそのことが今につながっていると確信しています。


もし、皆さんも書く文字が整わない悩みを抱えていたら、試しに筆記体で英語を書く習慣をつけてみてください!


筆記体はかっこいい!

筆記体は一筆書きができる!

筆記体は自慢できる!

筆記体は早く書ける!

筆記体は字の形を整えやすい!

筆記体は運筆の器用さを向上させる!






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